お花と人の関わりと歴史
お花と人の歴史
お花は、古代から人間の生活と密着に結ばれているものであったとされています。
「ゆりかごから墓場まで」・・・花は、儀式や悲喜さまざまな出来事と結びつき主要な役割を演じてきました。
【生活との関わり】
樹や花は、野草と同じく薬として重宝され、また染色技術の材料として利用されてきました。
例えば、竜胆(りんどう)の草の根は胃薬として、秋の七草のひとつ桔梗(ききょう)は、咳止めなどに使われています。東洋医学における植物や花の成分や効能は、漢方薬や麻酔薬など医療において重要な役割を担っているといえるでしょう。また、花や植物の持つ色も染色技術の材料としては欠かせないものであったといえます。藍染めは、タデアイの葉からできた染料です。ウージ染めという沖縄の染色技術は、サトウキビから。梔子(クチナシ)の黄色い色素は、栗きんとんなどの天然着色料として使われています。
お花や植物は、古代の人々と深い関わりを持ち、古代の人々の知恵の結晶から薬としての利用や染色素材として日常生活に欠かせないものになっていったと言えます。
【文化と花の関わり】
日本のいけばなは、古代民間信仰とともに、仏教との関連や東洋の哲学や自然観が色濃く反映され、「道」すなわち心の表現とされ発展してきたものです。
西洋のフラワーデザインもまた、宗教的要素を持ち装飾技法として美術様式、デザイン形式として発展してきました。
東洋は花に「精神性」を見出し、西洋は花に「合理性」を求めるスタンスは、風土や生活様式、それによって育まれた感受性の違いや文化の違いはありますが、どちらも花を愛する心、そして暮らしの中に花を取り入れる方法、技法として発展させてきたことにあります。
全ての国の人々に共通するのは、「花に抱く詩情や感慨」であるということ。同じ自然への愛と畏敬、美しいものに対する詩情という人間としての感情から、いけばなやフラワーデザインは生まれたということです。
つまり花や植物は、古代から人々に愛され続け、人の心に安らぎと潤いを与えてくれるものとして存在していたということなんですね。
【現在のお花との関わり】
現在の私たちは、どのようにお花と関わりがあるでしょうか?
お誕生日や記念日、お祝い、法事など日常的にお花を活用しています。近年はお花の種類も品種も増え、身近にお花を感じられる時代になりました。いけばなやフラワーアレンジなど様々なお花の装飾技法も増え、花屋で気軽にお花を手に入れることもできるようになっています。また、室内やビニールハウスでお花を育てることができるようになり、一年中お花に触れあえる時代になりました。
その反面、自然の中でおじいちゃん、おばあちゃんが、アロエでやけどの手当てをしてくれたり、ヨモギを煎じて薬として飲まされたりなど、昔の生きる知恵を身近に感じる機会が減ってきているのも事実だと感じています。
ですが近年は、そんな古人の知恵が進化し、お花の特性や個性を活かした活用方法が生まれています。
お花を癒しの存在として、花の外観、香り、色、エッセンス、エネルギーなど注目されてきています。
お花の香りで癒しと薬効効果(嗅覚)・・・「アロマオイル」
お花の成分で体質改善とリラックス効果(味覚)・・・「ハーブティー」
お花のエネルギー摂取・ヒーリング効果(感覚)・・・「フラワーレメディー・エッセンス」
お花での心のセラピー(視覚・感覚・嗅覚)・・・「フラワーセラピー」
など様々なお花の特性を活かした癒しと体質改善、精神安定が図られています。
古代の人々の知恵と想いの進化版といったところでしょうか?
お花や植物には、私たちが想像する以上に神秘のエネルギーが秘められています。
各機関での実証があるように、植物に音楽を聞かせたり、環境を変えて育てる実験をしたところ植物の育ち方が変わりました。植物には、個々のエネルギーが存在し、自然界のエネルギーと互いに共鳴しあいながら生存していることがわかります。
皆さんはこんな経験はありませんか?花や観葉植物を買って来たら、ちゃんとお世話しているのになぜか枯れてしまったり、枯れたと思っていた植物の新芽がでてきたり・・・そんなとき、ご自身の体調や調子はいかがでしたか?自分の体調や波動が悪いとき、植物が枯れやすかったり、自身の波動が上がっていてやる気に満ちているとき、植物がイキイキして新芽が出始めたり・・・そんな経験はないでしょうか?
植物やお花には、個々のエネルギーが存在しています。それは、人間の持つ感情エネルギーとは異なりますが、「慈愛」のエネルギーに近いものだと私は感じております。それは、自然界の一部である私たちとも共鳴していることを示しています。つまりは、エネルギーの相互作用があるということです。
古来から、花や植物は「大地の薬(メディスン)」として人類を癒す役目をしてきました。それは自然界からの贈り物であり、叡智であるといえます。
現代の私たちは、目に見えることや科学的立証されたことに耳を傾ける傾向がありますが、古代の人々は、大地に自然に目を向け耳を傾け、共存してきたのですね。
また、人間の約70%~80%は五感により情報を得て、成長を重ねているといわれています。
目で見て、耳で聞き、香りを嗅ぎ、舌で味わい、肌で感じる・・・
その体感と言葉や心がリンクして、人を形成していきます。
五感をフルに活用し、自然との共時性を感じ、自分の欲することを感じ取ることは、人間本来の生命力に基づくものだと思います。頭だけで考えていては煮詰まることが、五感を活用して、心で感じることで答えを見出すことができるのです。その点で、お花の持つ癒しのエネルギーは五感をほぼ満たしてくれる存在だと気づかされると思います。だからこそ、古代から人々にお花や植物は愛され続けているのではないでしょうか。
私自身、長い介護生活をお花に支えられ、癒され救われてきました。お花の慈愛のエネルギーを感じてまいりました。そして、お花のもつエネルギーに魅了されフローリストとなり、今はフラワーセラピストとして活動しております。
「ゆりかごから墓場まで」・・・私もたくさんの生命に触れてまいりましたが、傍にはいつもお花たちがいました。私たちも命あるもの。母なる大地の一部であり、植物や花たちは同じ共存体であり、自然のもたらす叡智の先生でもあるのだと感じております。自然の持つスピリットを感じて生きる豊かさに感謝していきたいものです。
心が疲れてしまったとき、ゆとりが持てない時こそ自然の中で耳を傾け、その声を聴き、肌で感じ、たくさんのエネルギーの享受をしてみてはいかがでしょうか?
魂で感じる壮大なるnature・・・幸せの瞬間
あなたの中にある自然のスピリットが共鳴して、癒しを感じることができることでしょう。
お花たちがあなたに語りかける声が聴こえてくるはずです。